導入校インタビュー

INTERVIEW

導入校インタビュー

武雄市立川登中学校

“ヒントで導くAI”で広がる自律学習と先生の働き方改善

ー 武雄市立川登中学校の実践 ー

※左から、力久先生、記伊校長先生

「AIの出力は最終結論ではないことを常に生徒に伝え、情報の正確性を検証し、自ら責任を持つ姿勢を育てることが重要です。」

そう語っていただいたのは、川登中学校の記伊校長先生です。今回は記伊校長先生と授業・校務の両面で教員のAI活用を伴走支援されている力久先生にお話を伺い、スタディポケット導入の背景から具体的な授業実践、そして教育の未来への期待までの熱い思いを伺いました。

先生のご紹介

記伊校長先生

 学校経営の柱に「自立」を据え、生成AIを含むICT活用で“生徒主体の授業”へ移行を牽引。

力久先生

授業・校務の両面で教員のAI活用を伴走支援。文書作成や校務効率化の定着を後押ししている。

どのような学校か

記伊校長先生:

川登中学校は、佐賀県武雄市の山あいにある地域と密着した小規模校(生徒数81名、職員は非常勤含め20数名/本務職員13名)です。
校訓は「誠実・敬愛・自修」で自然豊かな環境の中、行事や地域連携を通じて「自立の精神」を育む教育を推進しています。
 生成AIパイロット校として先行実践、その後、令和7年度はリーディングDXスクール事業の研究指定校に採択されています。

導入背景

記伊校長先生:

川登中学校は最初は生成AIのパイロット校に指定され、活用を進めることになりました。さまざまなAIを比較検討した結果、「答えを教えず、ヒントを示す」設計が特徴のスタディポケット(当時の名称は「宿題ポケット」)が最適だと思い、2年前から運用を開始しました。ChatGPTなどの他のAIと異なり、ヒントで導く点が魅力的で、より積極的に活用するようになりました。

実際に導入してみると

力久先生:

丁寧なご支援により、全員が円滑にアカウント作成でき、機能自体も我々とのやり取りの中で要望をしっかりと汲み取っていただきました。使い勝手がどんどん継続的に改善されています。生徒自身もスタディポケットと会話しながら、徐々に自分で答えに辿りつくようになってきています。また、プロンプトの作り方によって出力が大きく変わる点は、ChatGPTだと影響が大きいと感じていますが、スタディポケットはテンプレートが整備されているため、子どもたちも先生も簡単にAIとの会話を始められることが嬉しいです。

スタディポケットの活用方法は教科によって異なりますが、授業内で分からない点の確認に使うケースの他に、家庭学習での活用が目立ちますね。各学年で「自学ノート」を毎日1ページ提出する、という宿題を出しているのですが、何を学習するか迷った際はスタディポケットで問題を作成して解くように指導しています。問題集を新たに購入せずとも学習できて、スタディポケットなら分からない点も常にサポートしてくれるため、家庭でも学習が進んでいます。

また、リーディングDXスクール事業の公開授業では、技術科と数学の授業を実施しました。技術科では、micro:bitにプログラミングを読み込んで、文字の表示や音出しなどの制御を行いました。分かりにくい点はスタディポケットに聞いて、スタディポケットのAIチャットでPythonコードを作成し、micro:bitを制御することで、テトリス風のゲームを完成させた生徒もいます。また、変数の数値を変えるとmicro:bitの動きがどう変わるのか、ということに気づいて、変数を調整している生徒もおりました。各校の先生方が集まる場で紹介したところ、他校の先生方からも高い評価をいただきました。

文書作成でもとても活用しており、学級通信・校内行事の議案・通知文・キャッチコピーの案出しなど、初稿の作成をスタディポケットが担うことで、これまで1時間かかった作業が10分程度に短縮されました。まるで、優秀な補助者ができたような感覚です。

記伊校長先生:

教育現場に特化した回答が得られる点も評価しています。同じプロンプトをChatGPTに入力した場合と比べて、スタディポケットは「学校現場で求める答え」に近い出力を得られる頻度が高いと感じています。各社のツールを比較検証していますが、教育ドメインへの適合度が高い印象を持ちました。
 教育現場での利用を前提とした設計になっているため、使いやすさも良いポイントだと思います。テンプレートの充実の結果、プロンプトの巧拙による出力差も縮小されているようにも感じます。この1年の中でも生成AI基盤モデルの更新に伴い、精度向上が実感できました。

力久先生:

生徒側の変化で強く感じるところは、「AIの出力は絶対ではないという認識が浸透している」ことです。ファクトチェックの意識が高まっており、日常的にAIを活用している生徒ほど、情報の検証を意識するようになりました。また、ツール活用への心理的な抵抗も少なくなっているように感じます。

記伊校長先生:

導入にあたり、保護者の方々からの異論は特にありませんでした。事前に文書を配布し、承諾を得ています。導入初期には、AIに関する情報モラルの授業を行い、NHKと地元ケーブルテレビに授業の様子を紹介していただきました。学校運営協議会でも、地域の皆様に授業をご覧いただく機会を設けています。

今後に期待すること

力久先生:

テスト返却後の活用として、解答用紙を読み取り、間違えた箇所のみの解説と、復習用の練習問題を自動生成してほしいですね。家庭学習が効率化され、教員が不在でも学習が進む仕組みになり、CBTと組み合わせて定着確認まで循環できると、とても理想的だと思います。

記伊校長先生:

今後は、学校行事の運営に関して、体育祭・文化発表会・入学式・卒業式等の「生徒自走テンプレート」をAIが提示し、必要物品や人員配置、スケジュールなど、教員の指示がなくても生徒が自律的に動けるようにしたいと考えています。高校では生徒主導で行事運営が進むことが多くあるため、中学校の段階から徐々に慣れさせて、移行を進めたいという意図があります。生徒1人に1台の端末という環境が整っているので、時間や場所に制約されず、AIが学習支援を行える体制を重視していきたいと思います。 

※本事例中に記載の肩書きや所属先等は取材当時のものです。

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